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09/3/25風の被害「ウインドシア」

川上:サポートコミュニティ飛騨の川上哲也です。宜しくお願いします。雪が降りましたね~、と、寒い話やら、あったかくなったという話やら最近はごちゃまぜになっていますけど、先週お話しさせて頂いた春の災害のうち、本当に残念ですけど、風の被害、起きてしまいましたよね。

遠藤:成田空港で起きた、フェデックスの飛行機事故の話ですよね。あれは、なぜ起きたんですか?

川上:いきなり専門的な話から入らなきゃいけないようですが、それじゃあ、原因の一つと言われているものをわかり易く説明するために、まずはこれから考えてみましょうか。遠藤さん、セントレアじゃわかり難いでしょうから、今は県営名古屋空港になった小牧の空港は、どの方向に滑走路が伸びているかご存知ですか?

遠藤:たしか、国道41号線と同じ向きですから、南北ですか?

川上:そうですよね。で、夏と冬、飛行機の離着陸の方向が違っているってご存知ですか?

遠藤:えっ!? 違うんですか?

川上:違うんですよ。冬の時期は南から北に向かって離着陸を行って、夏の時期だとこれが逆になって、北から南に向かって離着陸をするんですよね。これってなぜかわかります?

遠藤:もしかすると、今風の被害の話をしていましたから、風の向きが関係するとか?

川上:ピッタシカンカン!!

遠藤:ふっる~!!

川上:まあ、古いとか新しいとかは置いときまして、風は、夏は南からの風が吹くでしょ。で、冬になると北からの風。飛行機の場合、向かい風の方が揚力、つまり浮く力を得易いものですから、向かい風で離着陸をしようとするんですよね。ですから、夏は南風に向かっての離着陸、冬は北風に向かっての離着陸になるんですね。

遠藤:へぇ~、へぇ~、へぇ~って感じですよね。

川上:で、もし逆に追い風で離着陸しようとしたら、同じ速度でも揚力はどうなります?

遠藤:同じ速度でも、追い風の分遅くなったのと同じですから揚力は小さくなりますよね。

川上:でっしょ~。じゃああの事故で、飛行機が向かい風で着陸しようとした体勢で下りてきて、いきなり追い風に変わったとしたら、揚力はどうなると思います?

遠藤:揚力は急激に小さくなりますよね。

川上:そうですよね~。そこへ下降気流が吹いたらどうなります?

遠藤:そんなことになったら、墜落する危険性が高くなりますよね。

川上:そうなんですよね。飛行機が着陸体勢に入って、その時点では向かい風であったものが、ウインドシアという乱気流の一種によって急激に風向きが変わってしまったもんですから、揚力が下がった。そこへ、ウインドシアのダウンバースト、つまり下降気流が吹いたことが原因の一つになっているんじゃないかって言われているんですよね。

遠藤:川上さん、今、ウインドシアって言われましたし、ニュースでもその言葉がよく使われていたんですが、それってどういうものなんですか?

川上:これはですねぇ、大気中の垂直方向、または水平方向の異なる2点で、風の向きや速度が劇的に異なることで、地表面付近で発生するウインドシアは、先程も言いましたように、ダウンバースト、つまり、下降気流を伴っていることが多いんですよね。

遠藤:つまり、A・Bという2点があって、その風向きや風速が全く違ったということですか?

川上:そうなんですね。Aという空間を通っている時に向かい風であって、それに合せた着陸体勢を取っていた。で、その先にあったBという地点では、いきなり追い風や横風などに変わってしまった上に下降気流が加わって、着陸体勢が大きく崩れた…という説明だとわかり易いでしょ?

遠藤:わかり易いですけどすごく恐い話ですよね。ところでその、ウインドシアという現象が起こっているということは、わからないものなんですか?

川上:それについてはですねぇ、事故が起きた当日、成田航空地方気象台が空港周辺でウインドシアが発生していると注意を呼びかけていたようですし、飛行機側にもウインドシアを感知するレーダーが搭載されているものが多いようですから、ウインドシアが起きていたとすれば、それについては知っていた上で着陸を試みたんじゃないかなぁ~って思いますよね。

遠藤:ウインドシアが起こっていることを知っていても、着陸しなければならないんですか?

川上:いや、通常はウインドシアを感知したら速やかにゴーアラウンド、つまり、着陸のために下降していてもまた高度を上げて、ぐるーっとまわってもう一度やり直すことあるでしょ、あのゴーアラウンドなどの対処を取ることになっているんですよね。

遠藤:それじゃあ、そういった対処をなぜ取らなかったんですか?

川上:ん~、そこまでは、残念ながらわかりませんが…。今回のお話しは、あの事故の原因がウインドシアだったら…という仮定でお話しさせて頂きましたけど、その直前に、何機もが安全に着陸しているわけですから、原因は他にもあるかもしれませんよね。

遠藤:今回は、お2人の尊い命が犠牲になったわけですけど、こういった事故が今後起きないためにも、徹底的に原因を調べて欲しいですよね。

川上:そうですよね。特に航空機は風の影響を受け易いですし、浮かんでいる揚力は、風を起こす空気から得ているわけですので、徹底的な調査をお願いしたいですよね。僕なんかは、いまだに飛行機が苦手なもんですから、いつも乗る時に緊張して、足に力が入っちゃいますけど…ね。

遠藤:最後に意外な発言もありましたけど、今日は、風の被害のうち、ウインドシアについてお話し頂きました。春の強風も、馬鹿にできないですよね。
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